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小山登美夫ギャラリー京都「インカ・エッセンハイ展 The Natural and the Man-Made」のオープニングの様子をレポート。
オープニングは盛況で、老若男女、国籍も様々で集まったゲストのバランスも取れている。そしてインカ・エッセンハイは、スタイリッシュで容姿端麗、SATCに出てきそうなニューヨークの洗練された女性作家といった風貌。 (胸元が大きく開いたモノトーンのワンピースに、赤いショールで情熱的なアーティストの雰囲気を上手に演出。ブーツは冬のお約束) クールな第一印象は、しかし話し始めると、良い意味で裏切られた。時にユーモアを交えながら情熱的に自作を解説。どんな質問にも笑顔で応じてくれて親しみやすい。 90年代半ばはエナメルを用いたベッタリとしたフラットな画法と、躍動感のあるモチーフが好対照を成すポップ・アートを制作していたが、2001年から油彩に転向。 今回の展示は油彩5点、モノプリント(版画)も合わせると約10点。 動きのある画面は以前と変わらないが、より幻想的でシュルレアリスム的な作風で、表現のスタイルはずいぶん変わった。一見するとレメディオス・バロやレオノーラ・キャリントンといった、女性シュルレアリスム画家が頭の片隅に浮かぶ。しかしインカ・エッセンハイの絵に込められたメッセージはより具体的で力強い。 森全体が生きているような背景の中、切り倒された木の切り株に居座る木の精霊を描く "Stubborn Tree Spirit" 木を切り倒そうとする人間の頭上を浮遊する精霊を描いた"The Woodsman" 精霊自体はファンタジーだが、自然破壊に対する警告とも見て取れるメッセージはリアリティがある。精霊を抱くマンハッタンの高層ビル群に、両側から囲い込むような水の流れが押し寄せる"Manhattan" は、都会と自然の共存を示唆している。 彼女の話を聞いていて面白いと思ったのは「自然も好きだけど、マンハッタンの都会も 大好き」という柔軟さだ。「自然破壊、断固反対!」みたいな攻撃的で痛烈なメッセージでは決してないし、主張の押し付けがましさも無い。自然の驚異に対する畏敬の念を抱きつつも、都会に生活する者として、もっと現実的なレベルで自然崇拝を受け入れているように感じた。 90年代のポップ・アートの作風に固定ファンも少なくなかったろうに、自分の直感や感性を最優先させ、画風も画法も躊躇無く変え続ける。アートで生計を立てる作家としては勇気がいる決断に違いないが、彼女の中では「金儲けのための作品」を描き続けることより、自分の感情に従うのが自然なのだろう。 ここまで読むと直感的なアーティストみたいに聞こえるが、 実は彼女は物事を突き詰めて考え抜くアーティストだと思う。 「NYでは暗くて痛みを感じるような作品が受け入れられているようなところがある。夫もアーティストでイラク戦争時には現地に行って絵を描いて、私自身もニュースなどから出来る限り戦争の情報を集めた。最終的に行き着いたのは、暗くて痛みを伴う世界に貢献するアーティストにはなりたくない、もっと平和に貢献するようなアーティストになりたいと強く願うようになり、そこから作風が変わっていったと思う」と力強く話してくれた。 アーティストとして五感をフル回転させつつも、常に頭の中で考え続け、思考が停止することがない。 エナメルも突き詰めたから、油彩に転向したのだろうし、自然と都会の両方に身を置いたからこそ、絵を通じて柔軟なメッセージを我々に提示できる。9ヶ月になる子供がいて、彼女の作風にある程度影響を及ぼしてはいるが、子供の誕生も彼女にとっては自然現象のひとつで、子供の存在がすべてではない。 なるほど、女性としてアーティストとして充実している時期を迎えているようだ。 作品からも技術の成熟が見て取れる。アーティスト同様、作品も日本人には馴染みがあって親しみやすい題材だと思うので、京都にお寄りの際はぜひギャラリーに寄ってみてはいかがだろうか。
by azzurrotree
| 2012-03-02 23:47
| Paintings/西洋絵画
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