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サンセット・ストリップ (Sunset Strip) を車で流していると、ビルボード (大型広告板) にガゴシアン・ギャラリー (Gagosian Gallery) で開催中のウルス・フィッシャー
(Urs Fischer) 展の巨大広告が出現。 ファッション・ブランドやTVドラマのビルボードが乱立する通りで、アートギャラリーの広告は珍しい。サンセット大通りの中でも、サンセット・ストリップと呼ばれる2.5km程の通りは、ライブハウスにクラブ、ブランド・ショップ、高級ホテルやレストランが軒を連ねる繁華街だ。当然、一等地なので、ビルボード掲載料も70,000〜100,000ドル (約580〜830万円) に跳ね上がる。世界中に11のギャラリーを展開し、現代アート・シーンを牽引するガゴシアンは、現代アートの市場価値を高めるためなら、宣伝費も惜しまない。 1979年にLAに回廊、80年代にはニューヨークにギャラリーをオープンし、ジャスパー・ ジョーンズ、ウォーホール、リキテンシュタイン、ポロックなど名立たる現代アーティストの展覧会を次々に開き、世界中のアート業界の注目を集めた。ダミアン・ハーストの個展は美術館級の集客を記録し、展示作品は完売。ハーストの知名度、作品の市場価格共にトップレベルに押し上げたのもガゴシアンだった。取り扱い作家は村上隆からエド・ルーシェまで世界トップレベルのアーティスト約80名にのぼる。顧客のひとり、LA在住の不動産王で アートコレクターのイーライ・ブロード (Eli Broad) は、現代アートコレクションのほとんどを、オーナーのラリー・ガゴシアンのアドバイスで買い漁り、LACMA美術館の敷地内に自身の名を冠した美術館まで建てた。要するに、ガゴシアンは世界で最も影響力のある 大御所ギャラリーなのだ。 ビルボードが気になっていたので、ビバリーヒルズのギャラリーへ行ってみた。 ウルス・フィッシャーはNYを拠点に活動する、新進気鋭のスイス人現代アーティストで、ギャラリーの壁をぶち抜いたり、床にクレーターのような巨大な穴を穿ったり、人々の固定概念をひっくり返すような作品で知られている。空間に対する感性が鋭いアーティストだと思う。最近では、NYのパークアヴェニューに、頭にランプを被せた巨大な黄色いクマの インスタレーションを展示して話題を呼んだ。 しかも、この重さ15.7トンの作品がオークションで680万ドル (約5億5,000万円) で落札されたというから驚きだ。 今回の展示はペインティングとインスタレーションで構成。入り口を入ると、キングサイズのひしゃげたベッドが目に飛び込んでくる。 本物のベッドを、枕からシーツにいたるまで丁寧に型をとって、シリコンのスキンを作って中に詰め物をした、タイトル通りソフトなベッドだ。ダリの溶けた時計を連想させるが、 シュルレアリスムとは少し違う気もする。違う角度から物事を見ることを常に心がけ、作品を通して意識の変革を追求しているアーティストだ。 もうひとつのベッドはコンクリートの土砂の重みで沈み込んでいる。 なんとなく夜の営みが途絶えた夫婦を思わせる作品。「離婚の原因」(The Ground for Divorce) というタイトルが似合いそう。 天井も高くて広々としたギャラリーの壁にかけられた巨大なペインティングも圧巻だ。 ヴィンテージのハリウッド広告写真を大きく引き延ばして彩色したシルクスクリーンに、 被写体のモデルの顔をすっぽり隠す大きさのバナナやボルト、野菜を配した一連の作品は、ハリウッド・スターに対する皮肉たっぷり、実際オープニング・レセプションもアカデミー賞に合わせて開催する念の入れよう。当日はハリウッド・セレブも多くギャラリーに訪れたそうで、さぞやブラックなユーモアに拍車がかかったことだろう。 ギャラリーのスタッフにプライス・リストを見せて欲しいと言ったら、巨大なProblem Paintings8点はすでに完売とのこと。あんな大きな絵を飾る場所なんてあるのかしら?と思って連れに訊くと、購入者のほとんどは投資目的で、実際に家に飾ることはないそうだ。参考価格として、微細に振動し続ける木製テーブルのインスタレーション Fiction, 2012 (71.8 x 160 x 100.3cm) は50万ドル (約4,100万円) と驚愕の価格。 下手な日曜大工で作ったような不細工テーブルにカメラを向ける気さえ起こらなかったのだが……。 このオンボロ作品がこんな高値だったら、ペインティングの価格は一体いくら だったのか……。市場価格を意のままに操作できるガゴシアン&資本主義下の現代アート、恐るべし。
by azzurrotree
| 2012-03-31 07:20
| Contemporary/現代美術
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