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今年で第2回を数える京都Graphie国際写真フェスティバル。
個人的に一番オススメの展示は写真家・西野壮平のDiorama Mapだ。 会場である京都を含めた世界の都市の俯瞰写真を、京都駅ビル7階東広場で展示中(5月11日まで)。 西野氏と京都精華大学デザイン学部教授の佐藤守弘氏のトークがあったので聴きに行った。 西野壮平の作品、実物を初めて見たのは、ロサンゼルスの写真コレクターのお宅で遭遇した "Diorama Map Tokyo 2004" だ。 遠目から見るとモノクロ航空写真のようだが、近くで見て「写真の密度」に圧倒された。 何千カットもの写真を切り貼りしたコラージュで東京の俯瞰図を作り上げている。 味気ない地図とは違い、山手線を電車が一周している様子、東京タワー、国会議事堂、東京ドームなどの名所はもちろん、東京湾や空まで定点観測のように何十カ所も写真撮影し、立体的でリアルな東京が目の前に展開している。 まるで自分が鳥になった気分。 根気と執念が無ければこんな作品は作れないが、都市が題材のせいか無機質でクールな作品という印象を受けた。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 今回の京都Graphie会場には、2ヶ月ほど前に完成したばかりの最新作が早速展示されている。 10年ぶりに東京を見つめ直した "Diorama Map Tokyo 2014" である。 同じ東京でも10年前の作品と異なり、今回は人物のスナップ写真があちこちにコラージュされているのが軽い驚きだった。 新橋駅前を殺伐と行き交うスーツ姿のサラリーマン、思い思いのファッションに身を包み原宿を闊歩する若者たち、猥雑な新宿歌舞伎町や秋葉原といった街並みのスナップ写真もあり、より有機的で生活感のある東京の姿を俯瞰できる。 トークでは西野氏の写真家としての10年間の軌跡や心境の変化などを聴くことができた。 東京の風景撮影からスタジオで制作する様子まで "Diorama Map Tokyo 2014" の全制作過程を収めた映像を見ながら解説してくれたのも、非常にオープンで分かり易かった。 Diorama Mapシリーズを始めた当初は、街並を俯瞰できる高層タワーなど高い所からの撮影が主だったが、最近は低い所へと興味関心が移ってきていると話してくれた。 人や街並みのスナップ写真は最近始めたそうだ。 最新作の東京mapは川からの撮影も試みている。 高みからの視点と同様、水からの視点もまた非日常で、路上が人間の皮膚なら、川は血流や静脈のようだと例えるのも都市観察者ならではの視点。 隅田川に自らカヌーで漕ぎ出して川からの風景を撮影する西野氏。 東京を60〜70カ所も歩いて撮影し、カヌーも漕ぐとは意外に体育会系。感心しながら映像を見ていると、まさかの転覆! カメラ2台が水没し、フィルムは今も川底にあるのだろうかと未練を滲ませる。 驚いたことに、撮影はデジタルカメラではなく、フィルムを使い、自分で現像するアナログスタイル。 コラージュ作成に使うのがコンタクトシート (ネガフィルムを直接印画紙に焼き付けたもの。通常何が写っているか確認用に使う。フィルム原寸大なのでサイズは小さい) で、これをさらに切ってカンバスに貼っていく。 「撮影枚数全てが地図になる」「経験が多いほどフィルム数が増える」とはいえ、今回の東京mapに使われたコンタクトシートはなんと3万枚! 1日8時間作業して完成まで2ヶ月かかった超大作だ。 今回の京都Graphieに2004年制作のDiorama Map Tokyoの展示は無いが、2003年の京都地図と比較しながら自身の作品の変遷を語っている。 10年前は都市を俯瞰するという行為が傍観者のようで客観的だったが、年を経て都市や人とのコミュニケーションが楽になってきて、無機的だった都市の表象が有機的になってきたと変化を語る。 視点が下に下がってきたのも、実際に東京に住むようになって土地に馴染んだのも大きいだろう。最新作2014年の東京はストリートレベルの視線で人々や街の様子を捉えているので、地上の人間の営みにより接近していて共感が増す。 この懐かしい感じは何だろうと思っていたら、佐藤氏が見事に解決してくれた。スクリーンに映し出された近世初期の洛中洛外図屏風 (舟木本) を引き合いに出し、西野氏の東京map最新作と比較できたのは面白かった。 日本に遠近法が無い時代の地図や絵は、俯瞰図でもすべての物にピントが合っている。 西野氏のDiorama Mapも写真を用いることで無数に視点が合っているという共通点があると指摘。「地図の概念を継承しつつも地図を偽装している」という表現も、なるほどと思う。 Diorama Mapの中では歩いて撮影した順番と時間軸、高所・ストリートレベルといった視点が錯綜し、混沌としている。この地図を頼りに目的地に行こうとすれば間違いなく迷子になりそうだ。 西野氏の作品は、細部まで拡大できるGoogleマップにも似ているが、実用的で、装飾性・思想性に欠けるGoogleマップは、自身の作品とは似ていない、むしろ逆ではないかと話していた。 西野氏は自身の作品を「空間と時間の集積」だと説明する。撮影し歩いた時間、フィルム現像やコラージュ制作の時間すべてが積み重なって作品になると語る。 制作過程は見ての通り確かにコラージュなのだが、完成作品は厳密にいうとフォトモンタージュである。膨大な写真をカンバスに切り貼りしてコラージュした作品をカメラで撮影して一枚のプリントに仕上げるのだ。最後に一枚のプリントに撮影する行為をしきりに「記憶を定着させる」と表現していた。 写真を始めたきっかけが「お遍路さん」だったのも意外だった。写真で旅の時間を見るお遍路の経験が、後のDiorama Mapに繋がっているとは。 今後はアムステルダムを撮る予定とのこと。運河や川が多いオランダもまた楽しい作品になるだろう。京都はもう一度撮ってみたいとも語ってくれた。京都の最新バージョンにも大いに期待したい。 作品展示のスタイルも新しい。壁に展示せず地面にレイアウトしている。 世界各都市のDiorama Mapを上から鑑賞するので、地図を鳥瞰できる。双眼鏡を貸してくれるので作品の細部も拡大して見られて一層楽しい。 東京、京都の他にも、ニューヨーク、ロンドン、パリ、エルサレムなどの展示もあり、行ったことがあっても無くても旅行気分が味わえる。
by azzurrotree
| 2014-04-22 16:35
| Photography/写真
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