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会期終了間際の展示で申し訳ないが、忘備録を兼ねて紹介しておきたい。
大阪の国立国際美術館で、5月11日まで開催のアンドレアス・グルスキー (Andreas Gursky) 展 。日本初個展ということで、注目度も高かった。 北朝鮮のマスゲームを撮影した『ピョンヤン』の連作や『カミオカンデ』は代表作として展覧会ポスターや雑誌でしきりに取り上げられていた。 高解像度で高画素数の写真を縦3メートル、横5メートルといった巨大なスケールで体験するのがグルスキー作品の醍醐味といえる。 『カミオカンデ』は高解像度のせいか (天文学的な画素数に違いない) 、平面な写真が3Dに見えてくる。 撮影はデジタルカメラかと思いきや、意外にも撮影にはアナログの大判カメラを用いている。現像したネガをスキャナーで読み取り、PC画面上で修正を施す。さらに複数の画像を画面上で繋ぎ合わせて1枚の画像を作り出す「スティッチング」という技法を駆使している。出来上がったデータを再びネガに焼き付けてプリントするという手の込みよう。要するにアナログとデジタルを融合させた巧みな合成写真なのだ。 一見何の変哲もないアメリカのスーパーマーケットの商品棚。カラフルでポップな感じが楽しい。 肉眼なら遠くの棚の商品はぼんやりするはずだが、この作品は中心も周縁も遠くもすべてにピントがあっている。虫眼鏡や双眼鏡で拡大すれば遠くの棚の商品の文字も識別できる。溢れんばかりの商品が目の前に迫る。 「一見何の変哲もない」と書いたが、壮大な眺めを俯瞰しているのに、なぜかすべてに焦点が合っていて、接近している感覚にもなる。 この人間離れした非現実的な視覚に気がつくと、グルスキー作品の凄さが分かる。 柵に囲われた牛が飼われている農場。ありそうな光景だが、この牛の柵が遠近法の消失点まで延々と続くのが少々気味が悪い。 どこまでがリアルでどこからがフィクションなのか。鑑賞者の意識に揺さぶりをかける作品だ。 デジタル技術を駆使したグルスキーの精密な写真作品は、時に「絵画的」と表現される。しかし正直『ピョンヤン』や『カミオカンデ』を見ても絵画的とは言い難く、いまいちピンと来ない。「絵画的作品ってどれよ?」という好奇心から会場に足を運んでみたが、探しに行った甲斐はあった。 「絵画的」な作品をいくつか発見! ファッションショーの写真なのだが、颯爽と歩くモデルが着こなす衣装が素晴らしく、繊細で複雑なドレープやフリルにまで驚異的にピントが合っている。対して背景の暗がりに観客の輪郭がぼんやり浮かび上がる様子が印象派の絵画のようで、手前と奥のコントラストがひと際目をひく作品。 これもかなりの大型作品なのだが、見た感じは抽象画のようで色彩も美しい。実は、油や空き缶などのゴミが浮いたバンコクの川のクローズアップ写真なのだ。他の人にとってはゴミだらけのドブ川でも、見方を変えれば芸術的な美しさが潜んでいる。 グルスキー作品は近年、アート市場でどれも目が飛び出るような高値で取り引きされている。『ライン川 II』 (Rhein II, 1999) はニューヨークのクリスティーズで2011年に、写真作品としては史上最高額の430万ドルで落札された。本展には縮小版が展示されている。 え、この写真が世界最高額なの?と拍子抜け。鈍色の空の下に流れる川と緑の土手しか写っていない写真。 しばし眺めていると何か違和感が。対岸に建物が全く見えないことに、ようやく気がつく。川を撮影した時は向こう岸に建物が密集していたのを、デジタル処理で一つ残らず消したのだ。 その昔、ベートーベンやゲーテは、高い建物が無かった時代にこのような川の景色を眺めながら散歩をしていたのだろうか、ふとそんな空想に浸ってしまう。物語性がある作品にロマンを感じた億万長者が巨額を投じて落札したのだろうか。 物語性と言えば、こちらの写真もいろいろな空想にかられる作品だ。 このアパートはデジタル加工を始めた初期の作品。 二つの撮影ポイントから写した写真を組み合わせている。ひとつひとつの部屋の窓を覗くのが楽しい。それぞれの部屋にそれぞれの人生があってストーリーがあると思うと、人間の営みが愛おしくなってくる。 日本でいうところの団地なのに、カラフルでお洒落な雰囲気なのは、さすがフランス。 図録やインターネットのイメージではグルスキー作品の超絶技巧や、現実と虚構の揺らぎがいまいち伝わらないのが残念。 やはり絵画と同じで、写真も実物、本物を見るに限る。
by azzurrotree
| 2014-05-11 02:06
| Photography/写真
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