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スッカリ風邪をひきさらしてしまったが(この歳で風邪をひくと長引くばかり)、ようやく回復基調になってきたので、ブログもボチボチ再開です。
Robert Heinecken(ロバート・ハイネケン)の大規模な回顧展 ”Object Matter” のオープニングに招待されたので、Hammer Museum(ハマー美術館)に行ってきた。 ![]() 本展はMoMAで2014年3月〜9月まで開催されていた展覧会の巡回展。 Robert Heinecken(1931-2006)は地元ロサンゼルスで活躍したアーティスト。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で生徒として写真と印刷を学ぶ。アーティストとして活動する傍ら、教員としてUCLAに戻り写真学科を創立、1962〜91年まで写真教育に携わってきた。 Heineckenの元で学んだ弟子や教え子達がまた錚々たる面々である。 Jo Ann Callis, Mike Mandel, Larry Sultan, John Divolaなどは近年再評価が進み、注目されている写真家だ(彼ら教え子たちについては別の項で紹介したい)。 そんなわけで今回UCLAが運営するHammer Museumでの展示は、地元ロサンゼルスへの華やかな凱旋展なのである。 ![]() Heineckenは「写真家」という言葉でひと括りにできない、あらゆる実験的手法を試みたアーティストだ。作品に写真を用いつつ、作品制作のためにHeinecken自身がカメラのシャッターを切ることはほとんどなかった。自らを "para-photographer"(超写真家)と称し、一般的な写真の概念を超えたところで作品を展開していた。 ![]() 写真、彫刻、ビデオ、印刷、コラージュなど複数のメディアを巧みに組み合わせた実験的かつ挑発的な作品で、戦後ロサンゼルスのアートシーンを牽引する先駆的な存在であった。 とはいえ数年前までは、地元やアート業界の間で「知る人ぞ知る」的な評価に留まっていた感があった。2011年にアートの祭典Pacific Standard Timeで、ロサンゼルスのアーティスト達を大々的に取り上げて以来、地元ギャラリー、Cherry and Martinらの地道な活動もあって、アート界ではHeineckenの再評価の動きが本格化している。 ![]() ![]() Heineckenの作品を初めて見た時は、いかにもカリフォルニア的であっけらかんとした明るさを纏っていると思ったものだ。 しかし小さなギャラリー展示を何度か見ていくうちに、Heineckenのビジュアル表現は技術的に優れているのはもちろん、実は非常に知性に訴える作品で、コンセプチュアル・アートの中でも突出した存在であることに気がついた(何度も作品を見てきたのに、気がつくのが遅くてスミマセン)。 ![]() 実際、New York Timesの記事も「先見の明はあるが考え方は保守的」の見出しでMoMAの展覧会を酷評、女性のヌードばかり作品に使うのでフェミニズムに逆行してると思ったのか、性差別を助長するsexist、女性の描写が限定的でありきたりだと散々な評価だった。 だが果たしてそうだろうか。テレビや雑誌に影響力があった1960年〜70年代から現在に至るまで、資本主義下のアメリカの広告のイメージはたいして変わらないのではないか。 セックスシンボルを思わせる若く美しい女性、見事なスタイルを誇るモデル、健康的に鍛えられた若い男性、フェミニズムが台頭した最中でもメディアに溢れ返るこれら典型的な男女のイメージは商品の売り上げ、会社のイメージに直結してきた。 購買欲を煽る広告のイメージに、散々振り回されてきた消費者を尻目に、Heinecken は大量生産・大量消費社会のアメリカ大衆文化を冷静に見据え、一匙のユーモアを添加してヴィジュアル作品に落とし込んだ。 ![]() 真骨頂を発揮しているのは、雑誌やポルノグラフィー、テレビの映像からイメージを引き出して、コラージュやフォトモンタージュ(合成写真)を通して、本来の意味とは全く異なる文脈を再構成した作品だろう。明るいポルノグラフィーや、ユルいユーモアといった作品の表層の裏に、アメリカの商業主義の薄っぺらな安っぽさに対する痛烈な批判が込められている。 ![]() ![]() Heineckenは1969年から1990年代にかけて、TimeやNewsweekの真面目な週刊誌, その他ファッション雑誌やアパレル広告に、上記のような如何わしいイメージを挿入した「改訂版」雑誌を何百と制作した。 特に1960年代後半から1970年代前半の間には、かかりつけの歯科医の待合室のマガジンラックや、街中や駅の売店の雑誌売り場に「手作りの猥褻雑誌」をゲリラ的に置いていったりした。何も知らずに「改訂版」を手に取った人は、中身を開いてさぞや仰天しただろう。 ![]() Heineckenの作品は時に無邪気ないたずらっ子のようなところもある。それに西海岸のヌードは、60年代、70年代という時代も相まって健康的で底抜けに明るい。 MoMAの展示はNew York Timesのお堅い紙面で酷評されていたが、たぶんニューヨークとロサンゼルスの風土の違いもあると思う。 洗練された東海岸の都会っ子には、LAっ子の「肌は露出してナンボ」的な ”the less clothing, the better”(身体を覆う衣服は少ないほど良い)の感覚は理解し難いのだろう。 ![]() UCLAの教員なのに、こんなヌードまがいの作品を作って、こっそり売り場の棚に忍ばせているのがバレたら、間違いなく首になると思うのだが。ある程度の破廉恥行為は大目に見る懐の深さが当時のUCLAにはあったのだろうか。謎である。 オープニングに来ていたドキュメンタリー映画監督Phil Savenick氏にお会いした。展覧会に合わせてSavenick氏が制作したドキュメンタリー映画 ”Heinecken Explains Heinecken” も公開される。 ![]() Savenick氏は1970年代にUCLAでHeineckenの元で写真を学んでいたが「君は写真に向いていないから、映画を作りたまえ」とHeineckenに言われ、映画に転向し、見事成功を収めている。 Heineckenの作品は、最近面白さが分かってきたので、次のエントリでも引き続き紹介したい。Heineckenの教え子で、現在ロサンゼルスを中心に活躍中のアーティストたちも順を追って紹介できればと思う。 ![]() ![]()
by azzurrotree
| 2014-10-21 20:10
| Photography/写真
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