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前回のエントリで、春画は性器を大きく誇張して描く「笑い絵」と紹介したが、鈴木春信の春画は他の絵師とは違う独特の世界観をまとっている。
乳を吸われてもおもしろくも何ともなさそうな女の表情が可笑しい。 他の春画と違い、春信の使う黄色や朱色は抑えた色彩が特徴的。登場人物の乏しい表情と古色蒼然とした色合いが、西洋のフレスコ画や宗教画のようにも思えてくる。 他の絵師は性器の誇張やデフォルメを盛り込んだ絵が多いが、春信は露骨な描写があまりなく「端正な春画」と言えるだろうか。 逆にこんな抑えた筆致の春信の春画を見て、当時の人々は性的に興奮したのだろうか。 春信に限らず、多くの絵師が描いている魅力的な登場人物に「若衆」がいる。甘美で美しい若衆は、春信の春画を特徴付ける大事な要素だ。 「若衆」=美しい少年・若者で、女装して男色の相手もするし、その美貌から女性からも誘われた。要するにバイセクシャル。色白で線が細く中性的、雰囲気だけなら今でいう草食系男子。でもすることはちゃんとしている隠れ肉食系といったところか。 女性と男性をはっきりと描き分けないがゆえに、春信の描く若衆は時に判別が難しい。 前回紹介した豆人こと「真似ゑもん」の一場面も、てっきり普通の男女の交わりを豆人が解説しているのかと思いきや、下半身によ〜く目を凝らすと、ふたりともモノが付いている! 丁寧にかんざしや櫛を差して美しく髪を結った女は、実は女装した若衆。女性の髪型や着物といった、女性を象徴するジェンダーの記号をまとった若衆にすっかり騙された。中性的に描くせいか不思議と露骨なイヤラシさは感じないが、それでも倒錯したエロティシズムに困惑し、魅惑される。 この絵に関して言えば、ますます男女の判別が難しい。「布団をかぶった娘が行燈の陰から覗く図」としか解説がないこの絵も、ひょっとしたら男性同士の性愛なのかも知れない 4人の芸者を船に上げてご乱交の最中に、猿廻しを披露する小舟が近づいてくるところ。バッチリ衣装を決め込んだ猿の、とぼけた愛嬌ある顔つきが可笑しい。 春画の世界では男女の性交はもちろん、不倫、男色、女性同士、3P、乱交、タブーを超越してもう何でもありだ。性に対する社会通念が今とはだいぶ違う。セックスに関する限り「わいせつ」と見なされるタブーはあまり無かったようだ。 春画展を見て分かるのは、文明開化の前と後で日本の性文化や性規範は大きく変わったということだ。明治維新により西洋からもたらされたキリスト教の貞操観が、引き続き現代の日本の性道徳観念を形成しているといえる。今の時代、「タブーなんてない」と言われるようになって久しいが、実はいろいろ目に見えない規範にがんじがらめになっているのが、現在の日本の現状かも。
by azzurrotree
| 2016-04-08 05:48
| Japanese Art/日本美術
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Comments(2)
Commented
at 2016-04-15 15:32
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
azzurrotree at 2016-04-15 22:54
いつも見に来ていただいてありがとうございます。
ソルトさんに限らず春画を研究している専門家にとって、タブーと言われてきた春画が公的な美術館で展示されることは「悲願達成」に等しく、感無量だったハズ。 ネコ好きなので、つい絵の中に探してしまいます(笑)。国芳はもちろん有名ですが、春信もスッとぼけた表情の猫を置いた絵が多くて和みます。 Norikoさんのように自転車を漕ぐ体力は無いですけど、暖かくなってきたので、私もいろいろ展覧会に出掛けられそうです。
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