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前回紹介したCindy Sherman(シンディ・シャーマン)展でも少し触れたが、昨年9月にDowntownにオープンした美術館The Broadについて詳しく紹介したい。
50年近くに渡り現代アートを収集してきたEli and Edythe Broad(イーライ&エディス・ブロード)夫妻の個人美術館。 20世紀から現在にかけて活躍するアーティスト200名以上による、現代アート作品2,000点以上のプライベートコレクションを所蔵する。 Eli Broadはロサンゼルス在住の不動産王で、米国の富豪をランク付けした今年の「Forbes 400」によるとEli Broadは総資産7億4,000万ドルで長者番付58位にランクイン。 The BroadはDiller Scofidio + Renfro設計の3階建てで、総工費はなんと1億4,000万ドル(約140億円)! The Broadはオープン当初「美術館は市民へのギフト」「入場料は永久無料」を謳っていたが、開館から1年後にして早速この寛大な誓いは無効になった。Cindy Sherman企画展はオンライン予約で$12(約1,200円)、そして駐車場代が$12なので、合わせて$24(約2,400円)。1つの展覧会の料金にしてはなかなか高額である。 とはいえ一流のコンテンポラリーアートを展示する常設展は引き続き無料という太っ腹。無料だが事前のオンライン予約は必須!入場できるかどうか分からない当日券を求めて炎天下で長時間並ぶのは避けたいところ。 入場すると1階は企画展の入り口&展示室。1階はそのほかにミュージアム・ショップとコレクション収蔵庫がある。洞窟のようなエスカレーターを3階に上がると自然光が差し込む開放的な展示室。無料のコレクション展が観られる。 3階に到着すると、いきなりJeff Koons(ジェフ・クーンズ)と村上隆がお出迎え。 「小さくなる飲み薬」を飲んだアリスになった気分? テーブルと椅子の巨大インスタレーション。 タイトル"Under the Table"には日本語でいうところの「袖の下」、賄賂という意味もアリ。スケールの大きさから、大企業の汚職を連想するのも悪くない。 超がつくほど有名な現代アート作品が目白押しなので、一挙ご紹介。 アート市場やオークションで高値をつけた有名アーティストの作品ばかりで「宝箱をひっくり返した」という表現がぴったりの展示。ディズニーランドのテーマパークみたい。ただ企画展や個展と違って、有名作品を漫然と展示しているだけなので、観終わる頃には少々食傷気味になる。今後は何かテーマに沿ってコレクション展を企画すると、もう少し知的好奇心に訴える有意義な展示になるかも。 そして普段目にする機会は少ないと思うが、作品を保管しているvaultと呼ばれる2階の収蔵庫を少しだけ窓から見ることができる。 この2,000点の現代アートコレクション、実はLACMA(ロサンゼルス郡立美術館)に寄贈されるはずであった。LACMA敷地内に5,600万ドルを投じて建設されたBroad Contemporary Art Museum(BCAM, Renzo Piano設計)だったが、2008年のオープン直前になってEli Broadの心変わりにより寄贈は取りやめに。建設費の大部分はEli Broad が出したとはいえ、建物がオープンしても肝心のアートが無い状況で、LACMAは赤っ恥をかき、キュレーターたちは激怒したといわれている。 自分のコレクションを寄贈するよりも、The Broad Art Foundation(ブロード美術財団)を維持する方が長期的に見てお得だと考えたのかも知れない。美術品を寄付してももちろん税控除の対象になるが、アートを他の美術館や研究機関に貸し出すThe Broad Art Foundationも税制上の優遇措置が適応され、様々な税金の控除が受けられる。そして世界中の美術館に貸し出したアートが展覧会で展示されるということは、展示作品の市場価格が将来値上がりすることを意味している。自分の名前を冠した美術館での企画展も作品が展示されたという実績になるだろう。コレクションを寄付するより、手持ちのコレクションの価格を押し上げる投資を選んだのは賢い選択と言える。自身の名を美術館につけたことで「(戦略的な)慈善家」として後世に名も残せる。 ビジネスの手腕に長けたやり手で抜け目ないビジネスマンではあるが、ロサンゼルスのアートシーンに多大な影響を与え、地域の活性化に貢献しているのは間違いない。 MOCAやLACMAといった美術館に多額の資金援助をし、自身も美術館の理事に名を連ね、ダウンタウンにあるディズニー・コンサート・ホールの建設が資金難で頓挫しかけた際も率先して資金調達し、同じくダウンタウンにあるLAオペラにも資金援助を続けている。The Broadもオープンしたことで、ダウンタウンは今後ますますアートシーンで注目を集めることになるだろう。ここ数年でダウンタウンの治安は著しく回復し、ロサンゼルスの中でも地域全体でもっとも再開発が進んでいる。地元に貢献するマネーフローは歓迎すべきだろう。
by azzurrotree
| 2016-11-01 04:48
| Contemporary/現代美術
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