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2018年KYOTOGRAPHIE京都国際写真展、続いては京都文化博物館のJean-Paul Goude(ジャン=ポール・グード)の展示。展覧会のタイトル "So Far So Goude" は英語の "So Far So Good"(今のところ順調)に自分の名前をもじっていて遊び心がある。
Jean-Paul Goudeはフランスの写真家、グラフィックアーティストで、世界各国の有力誌やKENZOやシャネルの広告キャンペーンで活躍。 しかしGoudeを一躍有名にしたのは、1980年代に公私ともにパートナーだった歌手でスーパーモデル、女優のGrace Jones(グレース・ジョーンズ)とのコラボレーションを置いて他にないだろう。 Grace Jonesは日本では映画007シリーズのマニッシュでモード系のパワフルなボンドガール役(ほとんど悪役)で有名かと思うが、歌手・ソングライターとしてディスコ、ニューウェーブ系の音楽活動で80年代のミュージックシーンを席巻した。 Jonesの背中や耳や頬といったあらゆる丸みが角ばっているのは、写真を切り抜いて貼っているから。背景のモザイクのような模様はテープを貼っている。ジャマイカの出自とその身体的特徴を最大限に引き立てた彫刻のような造形。 バレエのアラベスクみたいなポーズで超人的な身体能力だなと思ってしまったが、実は様々なポーズを写真に撮った後、身体をパーツごとに切り離し、足を引き伸ばしたり、上半身を正面に向けさせてとあらゆるアナログな加工を施し再接合した結果の人間離れしたポージングなのだ。 今ならフォトショップでいくらでも加工できるが、当時はアナログな方法で写真を切り貼りしてペインティングを施していた。 どのアルバムカバーもJonesの黒人女性としての身体的特徴を最大限に引き出し、中性的なセックスアピールを醸し出していて、そのビジュアルは一度見たら忘れられない強烈なインパクトがある。自立した力強い女性をアートワークとして昇華させることで、Jonesを性を超越したポップカルチャーのアイコンに押し上げたのは、イメージメーカーとしてのGoudeの役割が大きい。 一方で黒人女性を物に貶めている、性的欲望の対象にしているという批判もある。Grace Jones自身も被写体としてカメラの前に立つ時に、超人的なミューズとして彼女を崇めるGoudeからの非現実的な期待を背負わされて、心密かに葛藤していたと告白している。 さすがに今回展示されていなかったが、Grace Jonesが一糸まとわぬ姿で四つん這いになって檻の中に入って咆哮している写真は、確かにGoudeの代表作のひとつだが、黒人女性を囚われの黒豹か奴隷に見立てているようで、心穏やかではない気分にさせられる。昨今のMe Too女性運動が盛り上がりを見せている中で、Goudeの作品は今の基準に照らし合わせると、また違った解釈がなされるのかもしれない。 ちょうどアメリカでGrace Jonesの映画「Bloodlight and Bami」が公開されたばかり。唯一無二の孤高のビジュアルアーティストとしてステージに立つ心境を吐露し、「私だって人間よ!」と連呼する場面もあって、表現者としてのGrace Jonesへの興味をかき立てる映画となっている。 Goudeの写真の特徴は、自分とは異なる人種への賛美と、ダンスやバレエ、音楽のリズムにつながる身体の動きに美を見いだしているところだろう。彼にとって躍動する人間のフォルムは究極の造形なのだ。
by azzurrotree
| 2018-05-19 04:30
| Photography/写真
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