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2018年KYOTOGRAPHIE京都国際写真展、続いては藤井大丸ブラックストレージのStephen Shames (ステファン・シェイムス) の展示。
Stephen Shamesは報道写真家として子供の貧困・犯罪・麻薬の現場、アフリカのエイズ孤児、人種問題といった社会問題に鋭く切り込んできたが、Shamesの写真家としてのキャリアはBlack Panther Party (ブラックパンサー党) から始まった。 ShamesがBerkeley大学の学生だった20歳の頃、1960年代ヒッピー発祥の地でもあるカリフォルニア州Berkeleyでは、公民権運動とヴェトナム反戦運動が盛り上がりを見せ、大学のキャンパス内でも学生運動が勃発。 Berkeley大学でも学生によるデモやストライキにより、警察が介入する事態に。学生たちを片っ端から警棒で叩きのめす警察の容赦ない蛮行と混乱により、大学が断続的に一年近く閉鎖されている時に、Shamesは後のBlack Panther議長となるBobby Seale (ボビー・シール) にヴェトナム反戦集会で出会い、友達になる。 Black Panther Partyは人種問題、警察の蛮行、住宅供給の不足、経済状況の悪化に伴う貧困層の教育格差問題といった都市部の黒人貧困地域が抱える問題に取り組むために1966年カリフォルニア州オークランドで組織された。 白人が牛耳る司法制度は黒人コミュニティーに何もしてくれない、黒人であるというだけで警察にはいわれのない暴力を振るわれる。キング牧師の唱える非暴力の限界を見た黒人の若者たちが、自分たちの身は自分たちで守ろうと結成したのがPanthersだった。 Shamesとしては通っている大学もデモやストライキの騒乱で閉校になりがちだったので、友人Bobby Sealeが創設したBlack Phantherに密着を始め、AP通信やNewsweek, New York Times, Washington PostなどにPanthersの写真を売って学費や小遣いを稼いでいた。 一方Panthersもまた党の宣伝活動をして党員を増やすために、メディアを上手く利用していた。オークランドの黒人貧民街 (ghetto) では地元警察による理不尽な暴力や虐待が横行し、Panthersを始め様々な団体でボランティアの自警組織が立ち上がった。 Panthersの頭脳を担うHuey Newton (ヒューイ・ニュートン) はカリフォルニア州で銃を所持することは合法だと主張し、党員全員が銃で武装するこれまでにない過激なスタイルを作り上げた。武器を持って立ち上がった黒人たちのイメージを新聞やテレビで見た全米の黒人たちは大歓喜、若い党員が急増した。 Shames は1967〜73年に渡りBlack Pantherに密着し、寝食を共にした。二十歳そこそこの白人の若者が、過激派と謳われたBlack Pantherの支配下にあるブラック・コミュニティーにカメラ一つだけ持って丸腰で入って行くのは勇気がいったであろう。 メディアはインパクトがあるセンセーショナルな写真を欲しがったが、ShamesはPanthersの地域に根付いた地道な奉仕活動も追い続けて写真に撮っている。 Panthersは貧困層の子供たちに無料朝食プログラムを提供していた。 全米各地にキッチンを設置し、登校前の子供たち (その数1万人以上!) に黒人白人分け隔てなく、毎朝朝食を提供した。 他にも学校にも行けない貧しい子供たちに教育の機会を与え、衣服提供プログラムや、黒人に多い遺伝性の貧血病の治療を無料で行った。 暴力・過激派のイメージが浸透しているPanthersだが、黒人居住地区で様々な社会奉仕活動に従事し、若い男性だけでなく女性の党員も多かった。1970年代の一時期は党員の3分の2が女性だったとも言われている。 過激なイメージばかりが先行し、何気ない穏やかな日常の写真がメディアに取り上げられることはまずなかった。 黒人コミュニティーの内側から写真を撮るという姿勢は、以降のShamesのプロジェクトの根幹をなしている。取材対象に長年密着して、地域に溶け込み、弱者の側に立って寡黙に写真を撮り続ける。世界中で起こっている過酷な社会問題にフォーカスするのがフォトジャーナリズムの基本であり役割だが、Shamesは写真を通して厳しい現実を生きる人々の物語を紡ぐ名手である。 Shamesの写真家としての原点とも言えるBlack Pantherの貴重な記録を見ることができた。
by azzurrotree
| 2018-05-25 01:45
| Photography/写真
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