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会期終わりに駆け込みで行ってきた「没後50年 藤田嗣治展」(Foujita: A Retrospective Commemorating the 50th Anniversary of His Death) @ 京都国立近代美術館 (2018年10月19日〜12月16日)。
フランスに渡り一気に才能が開花した藤田。「乳白色の肌」と絶賛された独自の画風を確立、1920年代のパリ画壇に一大旋風を巻き起こす。フランスで熱狂的に受け入れられた藤田はパリでの絶頂期を存分に謳歌する。Foujitaのフランス語の綴りからFouFou(フランス語で「お調子者」の意)と呼ばれ、毎晩パーティーに繰り出していた。 ド派手でエキセントリックなパーティーボーイとして知られる藤田だが、そんな社交界の花形のイメージと相反するようなモチーフを、1920年代に描いた裸婦像の背景に好んで用いている。 トワル・ド・ジュイ(ジュイの布)はフランス更紗とも呼ばれる伝統的なアンティークプリント生地。人物を配した田園風景のモティーフや、様々な花が散りばめられたコットンプリントで有名。 1760年にヴェルサイユ近くのジュイ=アン=ジョザスの地にトワル・ド・ジュイの工場が設立され、最盛期には王妃マリー・アントワネットに愛され、ジュイ布を用いたドレスが製作された。1783年にルイ16世によってトワル・ド・ジュイの工場は「王立」の称号を与えられた。木版、銅板プリントによるテキスタイルのデザインは3万点を超えると言われている。しかしフランス革命後は急速に衰退の道を辿り、工場は1843年に閉鎖されるも、そのデザインは19世紀末のアール・ヌーボー運動に影響を与え、ウィリアム・モリスなどに受け継がれている。 藤田が1923年のサロン・ドートンヌに出品した「五人の裸婦」は背景のベッドの天蓋と裸婦の足元に置かれたジュイ風の布の描写が細やか。 藤田が1924年のサロン・ドートンヌに出品した「友情」。裸婦の腰に敷かれたジュイ布の図柄がやたら精緻に描き込まれていて、背景に描かれたバラの花よりも、よっぽど丁寧に絵柄を描いているのは突っ込むべきポイントだろうか。 見た目チャラ男の藤田が、18世紀フランスの伝統的なテキスタイルに注目するのは不思議な感じがするが、伝統に裏打ちされた確かなプリント技術と職人技に敬意を評していたのであろうか。藤田独自の画風である乳白色の柔らかさ、油彩であるにも関わらず水彩のような軽さが、藤田の高度なデッサン力で細やかに書き込んだジュイ布との思いがけないコントラストを生み出している。 トワル・ド・ジュイは1970年代や2000年代にもブームが戻って来ているし、ここ数年は新旧問わず様々なメゾン、デザイナーが小物やドレスなどのハイ・ファッションに取り入れている。今年一番目を引いたのはマックスマーラ (Max Mara)のラインで展開していた最新コレクション。英国王室主催の乗馬イベント「ロイヤル・アスコット」をテーマに、アメリカで活躍する刺繍アーティストRichard Sajaとのコラボレーションが優雅で素敵だった。 藤田は晩年までトワル・ド・ジュイを絵の背景に用いていた。18世紀の人物や風景、神話、天使、花などの植物柄といった古典的なモチーフが、フランスロココ調絵画を想起させるジュイ布。藤田は古き良きフランスを純粋に愛していたのだろう。いつの時代も人々を魅了する伝統ある布であることは間違いない。
by azzurrotree
| 2018-12-09 02:35
| Paintings/西洋絵画
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